腎とは何か?
東洋医学の「腎」とは?
腎とは?ひとことで言うと生命力や活力の源を言います。成長・発育・ホルモンバランス・性欲・生殖・排尿や排便・髄(脳・骨)・呼吸などを司っている場所のことを言います。
肝・心・脾・肺・腎などの五臓はいずれも生命維持にかかせない大切な臓器です。
そのなかでも「腎」には活力を生み出す力、発芽や火を発生させるように、物事のはじまりを起こす力全般をつかさどる、最も大切な働きを行っています。
つまり、ガソリンがあっても着火するマッチや静電気がないと燃え始めることができません。
腎にはこの「火」を発生させるエネルギーが蓄えられているのです。
腎が弱るとエネルギーを代謝できず、火が消えるように生命力全体の元気が失われていきます。
だから、どんな人でも「腎」を大切にし、常に補充するということが必要になります。
「腎」のエネルギーが低下すると
腎のエネルギーが低下した状態を「腎虚」と言います。体を温め、機能を活性化する「陽」と、体を潤し熱を取り去る「陰」とよばれるものがあります。
陽が不足する状態を「腎陽虚」、陰が不足する状態を「腎陰虚」と言います。
「腎虚」の時の主にあらわれる症状は
精力減退(よっこらしょ、、という感覚) 疲労感 回復力の低下 老化現象 物忘れ 白髪 脱毛 腰のだるさ 足腰が弱くなる 耳鳴り 聴き取りづらくなる 頻尿 尿量が多い・少ない 尿漏れ 排尿困難 歯がもろくなる、
などの症状に加えて
「腎陽虚」の場合には
冷える 顔面蒼白 元気がない 寒がる 足腰のだるさ 頻尿 排尿困難 手足や顔のむくみ 下痢 舌がぼてっとして淡い色になる といった症状がみられます。
また、「腎陰虚」の場合では
手足のほてり 顔ののぼせ イライラする ソワソワする 不眠 耳鳴り 口の渇き 腰のだるさ 寝汗 といった症状がみられます。
だいたい、40歳を過ぎると何らかの症状が現れてきますので、そのくらいの年齢で一度カラダをリセットさせるように過ごしたり、しっかりと弱った部分を補填することで、50歳以降に急に始まるホルモン減少の影響を軽減することができます。
50歳前後に女性も男性も急激なホルモン減少により更年期といわれる期間に入ります。多くの方はこのくらいで体力の衰えをはっきりと感じ、食生活や運動習慣の見直しをしたいと考えるようです。このように気づいてから腎の補填をしても間に合います。

東洋医学では女性は7年、男性は8年で体に変化がおこる
漢方は症状の改善をするのはもちろんですが、それだけでなく体力の低下に抗うための知恵を持っており、その代表が「補腎」になります。
「腎」を補う漢方薬にはどんなものがあるか?
漢方薬には腎を補う漢方薬は何種類もありますので、代表的な漢方と、とても効果のある漢方を2~3挙げておきます。
「腎陽虚」かな?と思ったら
①八味地黄丸:
メリット:桂枝や附子の働きで体を活性化。
デメリット:胃腸の弱い方は胃がもたれたり軟便になることも。そのような場合は体力が逆に低下する原因になることもあります。
②鹿茸製剤:
メリット:確実に体を温め、活性化します。
デメリット:やや高価な漢方薬です。
「腎陰虚」かな?と思ったら
①六味地黄丸:
メリット:補腎薬の基本です。
デメリット:胃腸の弱い方は胃がもたれたり軟便になることも。そのような場合は体力が逆に低下する原因になることもあります。