生薬講座 ⑩甘草(かんぞう・リコリス)
甘草はマメ科の植物で、名前のとおりで強い甘味があります。
漢方薬にはその処方の7割に使われている生薬です。
生薬として、漢方では緩和作用、止渇作用があるとされている。
各種の生薬を緩和・調和する目的で多数の漢方方剤に配合されている。
このため、漢方ではもっとも基本的な薬草の一つと考えられております。
安中散、四君子湯、十全大補湯、人参湯など多数の漢方方剤に使われ、
また、甘草だけで甘草湯という処方もあり(漢方で生薬を単独で使うのはまれ)
喉の痛みや、咳を鎮める効果があるとされています。
足のこむら返りなどの筋肉のけいれんに使われる芍薬甘草湯にも使われています。
甘草の主成分であるグリチルリチンは肝機能障害、アレルギーに有効であるとされ、
グリチルリチンを加水分解して得たグリチルレチンは、
その消炎作用から目薬としても用いられています。
食品としてはしょうゆやお菓子の甘味料として、
薬を飲みやすくする矯味剤として用いられております。
たばこの風味づけにもつかわれているそうです。
グリチルリチンやその他の甘草から得られる物質は消炎作用や美白の効果を持ち、
医薬のみならず、化粧品や医薬部外品の原料としても使われています。
使用上の注意としては、
副作用として低カリウム血症や血圧上昇などが起こることが分かっており、
多量に摂取しないようにすることが必要です。