Vol.2 今を大切にする
▼「今」という瞬間を意識する
「今やることに集中しなさい」とか「今を大切にしなさい」とかよく言われる言葉だと思います。
でもこの「今」ってとっても難しいと感じたことはないですか?
一瞬は集中できたとしても間もなく「未来の心配」とか「過去の後悔」について考え始めているのではないでしょうか・・・。
この「今」というのは右脳で感じる瞬間のみだと思うのです。
▼右脳の働き
右脳はよく芸術の脳といわれます。
大きなアンテナのような役割でその瞬間の情報をいろいろキャッチしています。
たとえば、匂い、頬をなでる風の強さ、光、音あるいは五感以外の情報もあるようです。ただし、すべての情報を拾ってもそれぞれに意味はなく、「ただすべてがある」というのが右脳です。
▼左脳の働き
これに対し左脳は言語の脳といわれます。
言語はそれぞれ意味をもっていますから、右脳で感じた情報を意味づけし認識あるいは分析・理解する役目を持っています。
たとえば光の情報に「色彩」があります。左脳がこの「色」という概念を認識しなければ私たちは色の変化や違いも気付きません。また、「形」という概念を認識しなければリンゴもバナナも見分けがつかないのです。
また、「時間」の概念も左脳が持っています。ですから過去―現在―未来という概念は左脳のものです。
このように左脳のおかげで、多すぎる情報をキャッチしながらも必要のない情報は削除されるため私たちは混乱せずに生活することができます。
しかしここで残念なのは、左脳で情報の選り分けがなされるため、左脳が知らない情報は無視されてしまうことです。
▼宇宙との一体感
アメリカの脳科学者、ジル・ボルティ・テイラーは38歳という若さで左脳の脳内出血を患い、右脳だけの世界を体験し、自らの経験を本に綴っています。
左脳がダメになっていくと「時間の概念」も喪失するため未来も過去もなくなり「今感じているだけ」という右脳の世界になっていくようです。また、自分の身体と周辺の物体の境を見分ける「形」の概念がなくと、いったいどこまでが自分なのか隣の人なのかの線引きができなくなります。最終的には宇宙に漂っている大きなクジラにでもなったような感覚だとジルは言っています。自分が宇宙の一部だと感じる瞬間です。
右脳ではすべてのものが一体になるのです。
私たちは常に左脳の情報や概念に縛られています。もっと言うと自分の頭で考えたことに縛られて生活しています。
良いことも悪いことも自分の作り上げた価値観なのです。
「今」をもっと感じるにはただ少し左脳で考えることを止めて、五感を意識することではないでしょうか?