気・血・水を知ろう~漢方の基本 Part 4~
漢方通信 ~漢方で健康美人になろう~ 2014.8月号
こんにちは!桃仁堂の伊藤です。 ようやく梅雨が明け、本格的に夏がやって来ました。
こんな都会の喧騒の中でも、ミーンミーン♪ジィージィー♪とセミの鳴き声が聞こえて来ると、汗を垂らしながらも、涼しい気分が味わえますね(*^_^*)
さて今月は「気血水」の最終回、「水」の働きと役割について考えてみたいと思います。
中医学では体に必要な水分を「津液(しんえき)」と言います。具体的には胃液や唾液などの体内で分泌される液体のことです。「津」はサラッとしていて体を潤す働きがあり「液」は少し粘り気があって関節・臓腑・脳や髄などに存在します。この2つを合わせて「津液」と呼んでいます。
「津液」の流れと働き
津液は皮膚、うぶ毛、臓腑や目、口、鼻、舌、咽喉などに潤いを与えます。関節、靭帯などのすじや筋肉にも潤いを与えて体の動きをしなやかにしてくれます。また興奮を鎮めたり疲労を回復する作用もあります。津液と血はお互いに変化し合っているので、津液が不足すると血も不足してしまいます。
津液は主に脾胃で作られ吸収された水分は肺の力で全身に運ばれます。そして腎の選別で不要な老廃物は尿として排泄されます。水が体内をスムーズに流れ、ちょうど良い浸透圧に保たれていると、気血の巡りも良く、肌も瑞々しく潤い、筋肉も引き締まってスッキリと感じられることでしょう~
津液の異常により起こるトラブルは?
成人の体では約60%、新生児では80%が水で構成されています。そのバランスが崩れると、色々なトラブルを引き起こします。たとえば、その1%が失われるとのどの渇きを覚え、2~4%が失われると脱水症状になってしまいます。そうなると体温調節が上手くいかず汗や尿も出にくくなり,これに気付かないと、あっという間に熱中症となり死に至りかねません。
また逆に水分過多になると体が重だるくなり浮腫や関節痛、めまいや下痢などの症状が表れて来ます。
このように津液が不足したり水滞症状を起こすと、体調に異常な変化が起こりますので要注意です。
津液不足 | 津液の停滞 | |
---|---|---|
原因 | 発熱、発汗、尿の出すぎ、出血過多、辛いものの食べ過ぎなど | 冷たい飲食物を摂りすぎて胃腸の消化吸収機能が衰える湿気や冷房により下半身に水が溜まる。 運動不足ストレスにより肝が高ぶり、気滞が生じて津液が滞る |
主な症状 | 皮膚や粘膜の乾燥。尿の色が濃い、便秘、体が熱いなど、陰虚の症状 | 水湿による、むくみ、尿量減少、だるさ、めまい、下痢、リウマチ、花粉症、リンパ節肥大、子宮筋腫など |
治法 及び 代表的な漢方薬 |
水分を補い、保湿する 体に潤いを与える食材を摂る(夏野菜、ナシ、ブドウ、キクラゲ、山芋など) → 生脈散・六味丸・滋陰降火湯 |
余分な水分を尿から排出(利水)→ 五苓散・苓桂朮甘湯 脾胃の消化吸収を促進(健脾)→ 六君子湯・参苓白朮散 湿を除き乾燥させる(燥湿)→ 桂枝加朮附湯・越婢加朮湯 気の巡りを改善する(理気)→ 温胆湯・半夏厚朴湯 |
★体内の水分量をチェックしてみましょう~
朝や寝る前、鏡に向う時に、ご自分のお口を開けて舌の様子を診て下さい。舌の表面に白い苔がべったり付いていたら水分過剰で体の中が湿気ています。また舌に苔がなく紅く乾いていて、割れ目があれば体液不足と考えられます。