五臓の働き Part5 腎の働き
五臓の働き Part5 腎の働き
漢方通信~漢方で健康美人になろう~ 2013.12月号
12月に入りますと、冷え症や低体温の方には辛い季節の訪れですが、体調管理に気を付けて何とか乗り切りたいものです!
冬は五行の臓腑で言うと「腎」の季節です。東洋医学で言う腎には水液代謝を主る機能の他にも大切な働きがあります。そこで今月は冬と繋がりの深い腎の働きと養生法について考えてみましょう~
そして『五臓の働き』シリーズは今回が最終回ですので、五臓に良い食べ物も参考にして下さい。
さて、腎の重要な働きは…と言うと「精を貯蔵する場所」です。
では「精」とはどんなもの?たとえば、滋養をつけたい時に「精のつくものを食べる」とか、やる気が出ることを「精がつく」等と表現されるように、精とは「元気の源」すなわちエネルギーの根本のようなものです。腎にある精気は発育・成長・生殖活動をコントロールしています。
そして腎は、耳・骨・髪とも関係が深いので、腎が弱ると難聴や耳鳴り、骨がもろくなったり髪に艶がなくなり抜けやすくなったりします。
さらに脳髄とも関係があり、腎虚が原因で脳に栄養がいかなくなると、健忘症になったり早期に認知症を招くことになりかねません。
腎をいたわり大事にすることが、不老長寿の秘訣であると言えるでしょう。中国の古い医学書「素問」には、冬の養生法が次のように記されています。
『冬の三ヶ月を閉蔵(へいぞう)と言う。万物が静かに閉じこもり消極的になる時期である。
すなわち、夜は早く寝て朝はゆっくりと起き、体を休めること。冬は体の陽気が深く貯蔵されているので、心身ともに活動的にならず、発散しないで春に備えること・・・・』 等々
とあります。現代生活で実行するには、やや無理がありますが、この時期に激しい運動をして夏と同じように大汗をかくと、寒気に熱を奪われ風邪を引きやすくなったり、下半身が冷えて腎・膀胱系の病気を引き起こしかねません。
また冬は血管が収縮し心臓にも負担がかかりますので循環器が弱い方は要注意です!
運動をするのは、陽気が盛んな日中に適度に体を動かすのが良いでしょう。また冬は腎を補う食材を使って温かい食事を摂り、エネルギーを保存することが大切です。
腎に良い食品は、根菜類・海藻類・発酵食品・黒豆・黒胡麻 などがあります。特に黒い色の食品は腎を補うので、椎茸・黒きくらげ・昆布・ひじきなどを温かいメニューに加えてください。
★腎の機能を高める漢方薬には、八味丸、六味丸などが代表的ですが、これらの処方を基本としてそれぞれの症状に合わせた補腎薬がありますので、どうぞご相談ください。
肝に良い食べ物 | 野菜 | 人参、カブ、セリ、アスパラガス、ニラ、ホウレンソウ、椎茸、クルミ、ゴマ |
果物 | ビワ、ブドウ、スモモ、サクランボ、梅 | |
魚・肉 | ブリ、青魚、クラゲ、レバー | |
薬草 | ウコン、クコ、サンザシ、地黄、番紅花(サフラン)・ナズナ | |
心に良い食べ物 | 野菜 | レタス、セロリ、春菊、冬瓜、キュウリ、ナス、タマネギ、ニンニク、椎茸、木耳 |
果物 | スイカ、メロン、桃、 | |
豆・海藻 | 小豆、緑豆、昆布、ヒジキ | |
薬草 | 竜眼肉、霊芝、高麗人参、地黄、百合、蓮子(蓮の実) | |
脾に良い食べ物 | 野菜 | キャベツ、トマト、カボチャ、大根、ショウガ |
イモ類・豆類 | ジャガイモ、サツマイモ、エンドウ豆、豆腐 | |
果物 | イチジク、リンゴ、ミカン、キンカン | |
穀類・魚肉 | 大麦、ウルチ米・蕎麦、エビ、鶏肉 | |
薬草 | ナツメ、甘草、陳皮、高麗人参、ウイキョウ、ハトムギ、金銀花 | |
肺に良い食べ物 | 野菜 | 大根、白菜、紫蘇、ネギ、生姜、サトイモ |
豆類 | ナタ豆、大豆 | |
果物 | 梨、ブドウ、柿、ビワ、ミカン、スモモ、リンゴ | |
種実・香辛 | 銀杏、クルミ、落花生、コショウ、山椒 | |
薬草 | 霊芝、甘草、高麗人参、西洋人参、烏梅、羅漢果、百合、生姜 | |
腎に良い食べ物 | 野菜 | ゴボウ、ニラ、人参、山芋、冬瓜、アシタバ |
種実・豆類 | クルミ、栗、胡麻、黒豆、ソラマメ、桑の実 | |
果物 | ザクロ、サクランボ、ブドウ、リンゴ | |
海産物 | 昆布、ワカメ、ヒジキ、、シジミ、牡蠣 | |
薬草 | 冬虫夏草、杜仲、クコ子、地黄、イカリソウ、蓮子(蓮の実) |