「身近な薬草シリーズ」 サンシシ ー 山梔子 ー
梅雨が明けますと、いよいよ本格的な夏が到来する7月。
この時期のまぶしい日差しの中で、青々と茂る緑の葉の間に、ひときわ鮮やかな「クチナシ」の白い花を見かけた方も多いのではないでしょうか。甘く濃厚な香りで私たちを楽しませてくれるクチナシですが、実は漢方の世界では「山梔子(サンシシ)」と呼ばれる、非常に優れた素晴らしい生薬(薬草)として知られています。
漢方で使われるのは、花の後につく熟した果実を乾燥させたものです。山梔子の最も得意とする働きは、体の中にこもった余分な「熱」を冷ますこと。東洋医学では、夏の強い暑さやストレス、イライラなどによって体の上部に熱がたまると、不眠やのぼせ、目の充血、あるいは皮膚の赤みや痒みといったトラブルを引き起こしやすくなると考えます。山梔子は、このような「心火(しんか)」と呼ばれる胸のモヤモヤした熱や、内臓の熱を優しく鎮め、心を穏やかに落ち着かせる手助けをしてくれます。
また、消炎や解熱、利尿作用、さらには血液の熱を冷まして出血を止める働きもあり、古くから多くの漢方処方に配合されてきました。身近なところでは、たくあんの鮮やかな黄色を染める天然の着色料としても使われており、古人はその力で食べ物の傷みを防ぎ、私たちの体を守ろうとしたのかもしれません。
冷たいものの摂りすぎで胃腸を壊しやすい夏ですが、エアコンの冷えと外の暑さのギャップで、頭や胸には熱がこもりがちです。クチナシのみずみずしい緑を思い浮かべながら、山梔子の力を借りて、体の中にこもった夏の熱を上手にリセットしていきましょう。
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