生薬講座 ⑳百合(びゃくごう)
ビャクゴウ(百合)は、ユリ科のオニユリやハカタユリなどの上部が枯れた頃
鱗茎をはぎ取り湯通しさせてから天日乾燥したものです。
オニユリ Lilium lanczfolium Thunberg (ユリ科)は北海道~九州、朝鮮半島、中国に分布する多年草で、
日本では田のあぜなど人里近くに生えます。
花は7~8月に数個~20個内外が下向きに咲き、花被片は橙赤也で赤褐色の斑点があります。
果実は普通実らず、ムカゴにより増殖します。苦味の少ないオニユリなどの鱗片は、
ゆりね(百合根)として食用として用いられています。
主成分はでんぷん、蛋白質、脂肪、アルカロイドなどです。
効能は消炎作用、鎮咳作用、鎮静作用、利尿作用、滋養強壮作用、去痰作用、
抗ヒスタミン作用、解熱作用、止咳作用があると言われています。
薬効
「立てば芍薬座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という表現にも登場する百合。
この言葉は現在美しい女性を表す言葉として見られますが、元々は女性の不調に用いる生薬であります。
中国医学の古典である金匱要略には「百合病」という記載があり抑うつ、摂食障害、
精神症状がみられる女性に用いられておりました。
百合根は消炎、鎮咳作用があり、辛夷清肺湯などに配合されております。
また、自律神経の乱れによる不眠、精神不安などの心身の不調におすすめの
「忘憂歓(ボウユウカン)」にもユリ科の忘憂草(ボウユウソウ)、
萱草菜(ワスレクサ)=金針菜(キンシサイ)、百合根が含まれています。
使い方
お正月のおせち料理に使われる百合根はこれからの季節にスーパーや
八百屋さんの店頭で見かける機会が増えると思いますが、使い方は意外と簡単です。
おがくずをはらい水で洗った後,一片ずつはがしよごれや変色してるところを切り取り使います。
お味噌汁やスープ、おかゆを炊くとき一緒に入れたり、茹でてグラタンや茶碗蒸しに入れたり使えます。