生薬講座 ㉔西洋人参(アメリカニンジン)
西洋人参はウコギ科の薬用植物です。
※赤い野菜のキャロット(せり科)とは違います。
北アメリカが原産地で根の部分を薬用として用います。
生薬としては「西洋人参」「花旗参」「広東人参」などと呼ばれています。
17世紀末、中国から朝鮮人参の素晴らしい薬効がヨーロッパに紹介されると、
ヨーロッパ、アメリカに住む方々も興味を持ち、その中でカナダのケベックに住む
宣教師ラフィトウという方がカナダ南部のインディアン領によく似た植物があるのを発見しました。
鑑定したところ朝鮮人参の同属のウコギ科の植物ですが、同種ではないことが分かりました。
この植物を朝鮮人参と区別して、北アメリカが原産地であることから
「西洋人参」または「アメリカ人参」と呼ぶようになりました。
また、中国広州や香港を経由して輸出されていたことにより「広東人参」、
中国におけるアメリカの国旗の旧称である花旗に因んで「花旗参」とも呼ばれています。
その当時、現地では用途も販路もなかったので中国の清国に送られ、
清国の太医院(宮廷の医療機関)で研究されました。
文献には性は涼、味は苦で微甘、脾胃の二経に入り、
効能は補陰、生津、止渇であると記されています。
西洋人参の働きは余分な熱を冷ましからだに潤いを与えるという事です。
夏バテ、ほてり、のぼせ、イライラ、寝汗などの症状に使えます。
現代の薬理研究では新陳代謝の活性化、血糖値を下げ、
中性脂肪やコレステロールの分解排泄を促進し、
免疫機能を高める作用があると言われています。
滋養強壮剤として血圧が高い方、イライラ、のぼせのある方には長く飲んで頂けます。
【使い方】
◆煮出して薬膳茶として
◆ミルで粉末にして服用していただきます。