生薬講座 ㉓朝鮮人参(チョウセンニンジン)/高麗人参(コウライニンジン)
朝鮮人参は高麗人参とも呼ばれ両者は同じものを指します。また御種人参(オタネニンジン)と表記されることもあります。
ウコギ科の多年草で原産地は中国遼東半島から朝鮮半島に、中国の東北部やロシアの沿岸部で採取され、薬用や食用で使われます。
朝鮮人参(高麗人参)は中国で2000年以上前からある古典の医学書である「神農本草経」に「上薬」と記されております。「上薬」とは命を養う薬を指し、長く飲んでも害がなく服用すればするほど健康になると言われています。
現在野生の朝鮮人参(高麗人参)はほとんど採取することはできないため、市場に出回っている朝鮮人参は畑で栽培されているものになります。栽培する年数で1年根、2年根、・・・6年根と言われますが、6年育てたものが一番栄養素を含み有効成分であるサポニンを多量に含んでいるのです。
【朝鮮人参の加工方法と薬効】
また、加工の仕方でも薬効が変わってきます。
生の朝鮮人参は水参、皮をむいて乾燥したものを白参、皮をむかずに蒸して乾燥させた紅参と言います。サポニンを多く含むのは紅参になります。朝鮮人参に含まれる主成分である「Ginsenoside(ジンセノサイド )」はいくつかの種類があり、血行を促す作用、動脈硬化を防ぐ作用、精神安定作用、血糖降下作用、抗疲労作用などが知られています。
【漢方にみる効果】
- 補気固脱…慢性病、大量出血、下痢などで「気」を失ったとき、それ以上体力が落ちないようにする
- 補脾気…胃腸の機能を指す「脾」の働きを補う作用
- 生津止渇…身体を潤す作用
- 安神益智…不安、不眠、健忘など精神を安定させる
「気」を補う作用に優れているので肉体的、精神的に気力が落ちているときによく使われます。
【漢方薬】
漢方薬には朝鮮人参(高麗人参)を含む処方はたくさんあります。
六君子湯、人参湯、人参養栄湯、帰脾湯など多くの漢方薬に配合されています。
また、人参の加工品である紅参は「霊鹿参」に配合されています。
【料理】
人参を使った料理で有名なのが「参鶏湯(サムゲタン)」です。
桃仁堂オリジナル薬膳スープの素にも人参が入っています。鶏肉と薬膳スープの素を使って簡単に作れます。