生薬講座 ㉖鹿茸(ろくじょう)
中国やシベリアに生息する梅花鹿(背中に梅の花のような斑点がある)や馬鹿(中国語読みでマールー)という大型の鹿の雄の幼角(袋角)から作られます。
鹿の角は毎年春になると抜け落ち、そこからまた新しい角が生えてきます。幼角とは、この生え始めの皮膚で包まれた柔らかい角のことです。
見た目や育ち方がきのこのように見えるということで「鹿茸」といわれます。
幼角は育つにつれ、徐々に骨化して、夏前には丈夫な角になります。この状態まで育ったものは「鹿角(ろっかく)」という生薬になります。
中国最古の医学書と言われる「新農本草経」や「本草綱目」にも記載されている動物生薬です。李時珍が著した「本草綱目」の中で「精を生じ、髄を補い、血を養い、陽を益し、筋を強くし、骨を健やかにし、一切の虚損、耳聾、目暗、眩暈、虚痢を治す」と記されています。
これは生命力を増し、骨髄や血の元になり、元気をつけて、筋肉を強くし、骨を堅く丈夫にし、体力の消耗による病、難聴、目のくらみ、めまい、下痢や腸の疾病を治すという意味になります。
長寿のお薬の代表格であり、腎を補う「補腎薬」の最高峰です。
高貴薬※である鹿茸はそのまま粉末にして服用するのが、最も効果的と言われております。
※高貴薬とは…非常に高価であり、容易に手に入りにくい薬物のことです。ワシントン条約で規制されている野生動物からの生薬が多いです。
【鹿茸の入った製品】
鹿茸を使った医薬品としては鹿茸末と紅参エキスが配合された「霊鹿参」があります。
肉体疲労、虚弱体質、病中病後、胃腸虚弱、病中病後、
虚弱体質、血色不良、冷え症などの症状に
すぐれた効きめを発揮する滋養強壮剤です。
雄鹿の角質化した角、鹿角を煮詰めた固形の膠(にかわ)を
鹿角膠(ろっかくきょう)と言います。
こちらの働きも鹿茸と似てます。
製品としては
鹿角膠、人参、竜眼肉、枸杞の実、大棗を配合した「鹿参仙」があります。
鹿角、亀板、枸杞の実、朝鮮人参を配合した「亀鹿霊仙廣」があります。
体力、気力、生殖能力を上げる滋養強壮の働きがあります。