生薬講座 ㉙牛黄
牛黄とは、牛の胆のうの中にごくまれに発見される褐色の小球塊で、牛の胆管の中にできた胆石のことです。
成分は主として結合型のビリルビン、その他コレステリン、胆汁酸、カロチノイド、 蛋白性物質を含みます。大きさは約1~4㎝の不規則な球塊で赤みがかった黄褐色の物質です。
この胆石が発見できるのは1000頭に1頭とも言われ、その希少性から金の何倍もの値段がつく生薬として「高貴薬の中でもひときわ価値ある存在」として位置づけられてきました。
漢方のルーツともいえる薬物書「神農本草経」(しんのうほんぞうきょう)には365種類収録されている薬物中「上薬」に分類されております。
「上薬」とは命を養い、毒がなく、長期にわたって飲んでも害がでない薬と記載されております。口に含んでみると心地よい苦味と微かに甘みがあるものが良品とされています。
医薬品としては第3類医薬品に分類されております。
※第3類医薬品はその作用、副作用が穏やかで安全性が高いものと位置付けられています。
【効果効能】
解熱、鎮痙、強心作用。薬理作用としては血圧降下作用、低酸素性脳障害保護作用、鎮痛作用、鎮静作用、利胆作用、抗炎症作用、抗血管内凝固作用などがあげられます。
適用としては動悸による不安感の鎮静、暑気あたりに対する苦味清涼、喉の痛みに使うことが出来ます。
【牛黄製品】
牛黄そのものを粉にしてカプセルに入れてある
「牛黄カプセル」
麝香(じゃこう)、牛黄、龍脳(りゅうのう)配合の
「感応丸氣(かんのうがんき)」
人参、牛黄配合の
「霊黄参(れいおうさん)」
センソ、牛黄、鹿茸(ろくじょう)、人参、レイヨウ角、真珠(しんじゅ)配合の
「律鼓心(りっこしん)」
麝香(じゃこう)、牛黄、人参、サフラン、香附子(こうぶし)、沈香(ちんこう)などを配合した
「敬震丹(けいしんたん)」
麝香(じゃこう)、牛黄、センソ、熊胆(ゆうたん)など配合した
「六神丸(ろくしんがん)」
乳幼児の夜泣き、疳(かん)の虫に使われる
「宇津救命丸(うづきゅうめいがん)」にも使われています。
また「ユンケル」などの栄養ドリンクの中にも入ってます。