生薬講座㊱ふくじゅそう(福寿草)
この頃、街中で福寿草の黄色い可愛い花を見かけます。縁起ものとしてお正月~旧正月によく販売もされています。
一番に春を告げるという意味で「福告ぐ草(フクツグソウ)」という名前が江戸時代に使われ、おめでたい季節とゴロをあわせるように寿(ジュ)を用いた福寿草(フクジュソウ)となったそうです。
フクジュソウはトリカブトと同じキンポウゲ科の植物で、アネモニンという毒をもっています。トリカブトほどの毒はありませんが、誤って食べると口内の灼熱感や吐き気を引き起こす可能性があります。
芽吹きの頃はフキノトウと見間違えやすいため、山野で採取する際は専門家に見てもらったほうがよいでしょう。
根茎を乾燥したものが福寿草根といいます。
チンキ剤として強心薬、利尿薬として利用されます。
また、欧州の福寿草には赤い花を咲かせるものもあるそうで、フクジュソウ属の学名がアドニス(Adonis)となっているのは、ギリシャ神話に登場する美少年アドニスにまつわる悲劇的な物語に由来しています。アドニスは愛と美の女神アフロディーテに愛された美少年でした。しかし、他の女神たちの嫉妬を受け、悲劇的な最期を迎えることになります。アドニスは狩りの最中に猪の牙にかかって殺されてしまいます。アフロディーテは深い悲しみに暮れ、アドニスの血を真っ赤な花の咲く草に変えたとされていますこの神話から、アドニスの血が変化して生まれたとされる赤い花が、フクジュソウ属の学名の由来となったそうです。




