「身近な薬草シリーズ」 ハッカ ー 薄荷 ー
4月、自然界は「陽気」に満ちあふれます。しかし、環境の変化が多いこの時期は、ストレスで自律神経が乱れ、東洋医学でいう「肝(かん)」の機能が滞りやすくなります。喉のつかえやイライラ、目の充血を感じる方にぜひ知っていただきたい生薬が「薄荷(ハッカ)」です。
薄荷は、シソ科のハッカ属の植物を乾燥させたものです。主な成分であるメントールは、現代でもおなじみの香りですが、漢方では非常に重要な役割を担っています。その性質は「辛・涼」。熱を冷ましながら、滞った気を四方に散らす「疎肝解鬱(そかんげうつ)」という効能に優れています。
例えば、風邪の初期症状である喉の痛みや発熱を和らげる「銀翹散(ぎんぎょうさん)」や、女性の血の道症やストレス緩和に用いられる「加味逍遙散(かみしょうようさん)」にも、この薄荷が配合されています。これらの方剤の中で、薄荷は主役を引き立てる名脇役として、こもった熱を逃がし、気を巡らせる役割を果たしています。
ご家庭での養生なら、緑茶に少しミントを加えたり、薄荷油をハンカチに数滴落として香りを嗅ぐだけでも、肝のたかぶりを鎮めてくれます。春風にのって漂う爽やかな香りは、まさにこの季節の心身を整える特効薬。新しい環境で少し肩に力が入っているなと感じたら、薄荷の力を借りて、心に風を通してみませんか。
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