【身近な生薬ライブラリー】紫蘇(シソ)― 生薬名:蘇葉(ソヨウ)
関東地方も梅雨の時期を迎えると、湿度の高まりとともに「なんとなく身体が重だるい」「胸やお腹が張って食欲が出ない」「気分がすっきりと晴れない」といった不快な症状を訴える方が増えてきます。
東洋医学において、このような不調は湿気(湿邪)によって体内の「気(エネルギー)」の巡りが滞ってしまう「気滞(きたい)」や「湿阻(しつそ)」が原因と考えます。
今月は、そんな梅雨時期の「気の滞り」を芳香によって一気に突き抜け、心身の通気性を高めてくれる身近な名薬、「紫蘇(シソ / 生薬名:蘇葉)」について専門的に解説いたします。
■ 蘇葉(ソヨウ)の基本情報
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生薬名:蘇葉(ソヨウ)/ 紫蘇葉(シソヨウ)
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基原:シソ科(Labiatae)のシソ Perilla frutescens などの葉および枝先
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性味:辛(しん)/ 温(おん)
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帰経:肺経・脾経
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主要成分:ペリルアルデヒド(芳香精油成分)、ロズマリン酸(ポリフェノール)、ルテオリン、α-リノレン酸(種子)
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主な効能:行気寛中(こうきかんちゅう)、解表散寒(げひょうさんかん)、和胃止嘔(わいしおう)、解魚蟹毒(げぎょかいどく)
■ 漢方医学から見る「蘇葉」の4大作用
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行気寛中(こうきかんちゅう)― 気の滞りを巡らせ、胸腹部の張りを和らげる
紫蘇の最大の強みは、その爽快な香りにあります。東洋医学において香りは「気を巡らせる」強い力(理気作用)を持ちます。ストレスや湿気で胸やお腹に停滞した「気」をスムーズに通し、胸のつかえや腹部膨満感、気鬱(気分の塞ぎ込み)をスッと解き放ちます。
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解表散寒(げひょうさんかん)― 体表の冷えを散らし、初期の風邪を払う
性味が「辛・温」である蘇葉は、体の表面に進入した「寒邪(冷え)」を発散させる働きを持ちます。エアコンや梅雨寒によるぞくぞく感や、風邪の初期症状(寒気・頭痛など)に優しく働きかけます。
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和胃止嘔(わいしおう)― 胃腸を温め、吐き気や食欲不振を抑える
冷たいものの摂り過ぎや自律神経の乱れからくる脾胃(胃腸)の冷え・働き低下を温めて整え、胃気の上逆による吐き気や嘔吐、つわり(妊娠悪阻)症状を緩和します。
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解魚蟹毒(げぎょかいどく)― 魚介類による中毒・アレルギーの予防
古来より魚介類(カニ・エビ・刺身など)による食中毒やアレルギー(蕁麻疹・胃痛)を防ぎ、毒を和らげる生薬として重宝されてきました。主成分のペリルアルデヒドには強い抗菌・防腐・防虫作用があることが現代医学的にも解明されています。
■ 豆知識:部位によって異なる薬効(葉・茎・種子)
漢方処方では、紫蘇のどの部位を使うかによって使い分けがなされます。
| 部位(生薬名) | 主な特徴と効能 | 適応症状 |
| 紫蘇葉(蘇葉) | 発散・解表・理気作用が最も強い。 | 初期風邪、気鬱、胃の滞り、魚毒予防 |
| 紫蘇茎(蘇茎) | 葉よりも和胃(胃を保護する)や安胎作用に優れる。 | 妊娠中のつわり・気滞・お腹の張り |
| 紫蘇子(蘇子) | 上逆した気を下げる(降気)・化痰・止咳作用に優れる。 | 慢性的な咳、痰、喘息、息切れ |
■ 蘇葉が配合される代表的な漢方処方
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香蘇散(こうそさん)
胃腸が弱く繊細な方の風邪の初期、胃腸型かぜ、神経症・気鬱に。蘇葉と香附子(こうぶし)の組み合わせで「気」を巡らせます。
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半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
のどのつかえ感(咽喉頭異常感症 / 梅核気)、ストレスによる不安感、動悸、胃神経症に。滞った気と痰を発散させます。
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参蘇飲(じんそいん)
体力が低下している方や胃腸が弱い方の風邪、長引く咳、胃もたれ・食欲不振に。
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蘇子降気湯(そしこうきとう)
紫蘇子を主薬とし、上逆した引き下げの力で慢性呼吸器疾患や喘息、激しい咳込みを改善します。
■ 桃仁堂薬局からの養生アドバイス
「蘇(よみがえ)る葉」という名の通り、蘇葉は梅雨から夏にかけての重だるさから私たちを蘇らせてくれる身近な名薬です。
日常の養生としても、大葉(青紫蘇)をお刺身や冷奴の薬味としてたっぷり添えたり、赤紫蘇シロップや温かい紫蘇茶を召し上がることで、脾胃の保護と自律神経の安定に大きく寄与します。
「湿気でお腹が張る」「気分がすっきりしない」「自分に合う漢方を知りたい」といったお悩みは、お気軽に桃仁堂薬局にご相談ください。体質に応じたオーダーメイドの漢方カウンセリングを行なっております。





