身近な生薬 柴胡(さいこ)
秋になると、小さな黄色い花をたくさん咲かせる「ミシマサイコ」。一見すると、野の草花のようですが、実は漢方薬には欠かせない大切な生薬です。
柴胡として使われるのは、花や葉ではなく「根」。秋に掘り上げた根を乾燥させて、生薬「柴胡(さいこ)」にします。日本薬局方にも収載されており、サイコサポニンという成分などが含まれています。
柴胡は、漢方では「肝」の働きに関係する生薬として知られ、気の巡りを整えたり、体の内側にこもった熱を外へ逃がしたりする働きがあると考えられています。
特に有名なのが「小柴胡湯」。柴胡を中心に、黄芩、半夏、人参、大棗、生姜、甘草を組み合わせた処方です。また、大柴胡湯、柴胡桂枝湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、補中益気湯など、実に多くの漢方処方に柴胡が配合されています。
漢方では、柴胡を含む処方を「柴胡剤」と呼ぶこともあります。胸脇部の張りや食欲不振、悪心など、いわゆる「少陽病」に関連する症状に用いられる処方群です。
可憐な黄色い花を咲かせるミシマサイコ。その小さな花の下には、長く伸びた根があり、昔から人の身体を整えるために使われてきました。
花を眺めながら、「この根っこが漢方薬になるんだ」と思うと、いつもの野草も少し違って見えてきませんか?



